投資信託の税金の計算方法
資産運用の基礎知識 Vol.29
投資信託で利益が出た場合、その利益の額に応じて税金が徴収されます。投資信託の利益の種類としては、解約益、譲渡益、償還益、分配金があります。
また、投資信託の種類には公社債投資信託と株式投資信託の2種類があり、それぞれにかかる税金も異なります。
ここでは投資信託にかかる税金とその計算方法について説明します。
現在の投資信託の税金のしくみ
投資信託の税金は公社債投資信託と株式投資信託によって、税金の仕組みが異なっています。公社債投資信託は債権として扱われており、利子所得となります。一方、株式投資信託は株式として取り扱われ、譲渡所得もしくは配当所得となります。
分配金の税金
公社債投資信託の分配金は、定期預金や債券と同等の扱いで、利子所得として課税されるため、源泉分離課税となり税率は20.315%になります。税金は源泉徴収により自動に引かれることになりますので、確定申告の必要はありません。分配金には「普通分配金」と「特別分配金」があり、普通分配金のみ課税対象になります。
普通分配金とは、分配金が出た後の基準価格が個別元本を上回った分の分配金になります。
そのため分配金は収益となります。
譲渡益と解約益の税金
投資信託が満期を迎える前に売却する場合は、買取請求か解約請求を行ないます。
買取請求は、取引をしている販売会社に自分の保有している投資信託を売却することをいいます。所持している投資信託がクローズ型の場合、中途解約ができないため、この買取請求しか選択できません。買取請求で得た収益は「譲渡益」になります。
譲渡益は株式投資信託の場合、譲渡所得として20.315%が課税されます。
公社債投資信託の場合は課税されませんが、販売会社に買取をしてもらう際に、収益から20.315%の特別控除額を請求されるため、実質の手取り額は課税された場合と変わらなくなります。
解約請求は、取引をしている販売会社を通じて、運用先のファンドに解約を申し込み、出資分を現金にして返金してもらうことをいいます。投資信託の種類によっては、解約請求は受け付けてもらえない場合があります。目論見書に記載があるため、事前に確認しておきましょう。
解約請求により得た収益は「解約益」になります。
公社債投資信託の場合、解約益は利子所得になり課税対象になり源泉分離課税となります。株式投資信託の場合の解約益は譲渡所得となり、こちらも課税対象です。
どちらも税率は20.315%になります。
譲渡所得に対しては原則確定申告の必要があります。一方、利子所得は源泉徴収されるため、確定申告の必要はありません。
償還益の税金
所有している投資信託が満期になり、資産が返還される際に得た収益は「償還益」になります。
株式投資信託での償還益は譲渡所得になります。一方、公社債投資信託で得た償還益は利子所得になります。どちらも課税対象となり、税率は20.315%です。
株式投資信託の売却と解約に必要な税金
投資信託で得た収益については、上記の通り多くの場合、課税対象になります。
課税対象となる収益は税金の種類はそれぞれ異なりますが、税率はどれも20.315%になります。税額の算出は以下の計算で統一されます。
(例)
収益額:10,000円×税率:20.315%=税額:2,031円
株式投資信託の損失は損益通算できる
株式投資信託での損益は、他の株式投資等と損益通算が出来ます。株式投資信託が50万円の損失として、他の株式投資が70万円の収益を得ていたら、差し引いて収益20万円に税金がかかることになります。
公社債投資信託は損益通算の対象外になりますので、注意してください。
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