NISAのリスクとメリット

資産運用の基礎知識 Vol.12

NISAのリスクとメリット

NISA(少額投資非課税制度)とは、一定の条件下において、資産運用時の収益・配当に対する所得税・住民税(申告分離課税:税率20.315%)が非課税になる税制優遇措置です。
実際に非課税になる配当金・分配金、譲渡益の上限は年間100万円ですが、この優遇措置を適用する為には、NISA専用に作られた口座を1つ用意する必要があります。

ただし、この口座を同時に2つ以上保有することは認められていません。

一定金額の株取引が非課税に

NISAのメリットは新規投資から発生した配当金・分配金、譲渡益に対して非課税になる点です。この優遇措置は最長で5年間有効ですので、長期的に続ければ優遇措置のメリットを一層実感することができると思います。

他の投資との損益通算が認められていない

しかし、NISAにもリスクが存在します。
NISAでは、NISAでおこなった投資とそれ以外の投資で生じた譲渡益や配当との損益通算を行なうことができないため、不利になるケースがあります。

例えば、A株で200万円の収益が生じ、B株で150万円の損失が発生した時、通常は収益から損失を差し引いた50万円が課税対象になります。

しかし、上記の例でA株を通常口座で、B株をNISAで運用した場合、A株とB株の損益通算ができないため、A株での収益200万円に対して課税され、B株での損失は加味されません。

非課税優遇措置の期間が決められている

NISAの非課税期間は最長で5年間という期間の制限があります。
もしこの期間を超えて運用をする場合には、他の課税対象の口座に移行する事になります。

ここで最も注意したいのが、課税口座へ移行した時点の取得価額(移行時の時価)となる点です。

その為、仮に100万円で購入した商品の移行時の時価が80万円だった場合、100万円まで価格が回復した時に売却すると20万円の利益が出たとみなされてしまうのです。
当然20万円の売却益が出ていますから、課税対象になります。

NISAでは繰越控除ができない

また、NISAでは損失の繰越控除が適用されません。
繰越控除とは株式等の売却で出た損失を、翌年以降3年間に渡り確定申告により、配当や売却益などの所得から控除できる制度です。

例えば、1年目に損失が100万円出て、2年目に40万円の収益が出たと仮定します。
繰越控除が適用される場合、2年目の収益40万円は1年目の損失から控除されるため課税対象にはなりません。
さらに、3年目で70万円の収益が出たとすると、2年目の控除分を引いた損失残額60万円を収益から控除するため課税対象額は10万円になります。

NISAにはこの繰越控除の制度は適用されないため、一般口座や特定口座で同じ商品を購入していた場合と比べると、翌年以降の収益に対する節税効果は小さくなってしまいます。

このように、NISAにはメリットもありますが、デメリットもあります。

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