老後資金の運用方法
資産運用の基礎知識 Vol.19
住宅購入や教育費など人生には大きな予算が必要となる場面がありますが、老後の生活のための資金もそのうちの一つです。そこで、その必要額やその形成手段を見ていきましょう。
老後にかかるお金はいくら?
世帯主が65歳以上の世帯(夫婦2人)では、1ヵ月に平均で約23万円の支出をしています。(2020年、総務省統計局調査)
仮に寿命を85歳として計算すると、生活費5,520万円(23万円×12ヵ月×20年)、その他に医療や介護費、住宅の修繕費、予備資金など(800万円~1,300万円程度)を考慮すると、6,320万円~6,820万円程度がかかるものと試算されます。
一方、1人あたりの収入は、公的年金については、国民年金のみ(自営業者)で月に約55,000円(20年間で1,320万円)、厚生年金加入者(サラリーマン)は約15万円(同3,600万円)です。
以上の試算で考えますと、世帯内で厚生年金加入者が2名いなければ老後の資金が不足してしまいます。
調査データはあくまでも平均値であり、より多くの出費がかかる場合もあるでしょう。また、年金・退職金などの収入も各家庭によって大きく差があります。
老後資金の不足が考えられる場合は、自分で資産を形成して準備する必要があります。
投資リスクを抑えた運用方法
老後のための資金を確保するためには、なるべく早い時期から、計画的な資産運用を行なうことが重要です。
計画的な資産運用を行なうための1つの方法として、リスクを抑えた投資方法を考えてみましょう。
一般的に、投資のリスクを抑えるためには分散投資が推奨されています。分散投資には、「資産分散」と「時間分散」の2つがあります。資産分散は、複数に資産を配分することです。
例えば、景気が悪くなると、一般的には株価は下落しますが、債券は値上がりしますので、両方を持っていれば、片方の値下がりをもう片方の値上がりでカバーできる可能性が高くなります。
また、国内株式と海外株式でも、その景気サイクルや経済成長度合いの違いから分散投資効果が期待できます。
時間分散は、手持ちの資金を一回に全て投資せずに、買うタイミングを分けて投資することです。最初に買った分が値下がりしても、もう一度安い値段で買えば、買いコストを下げることができます。
また、毎月定期的に同じ金額を買い付けていく方法もあります。(ドルコスト平均法)
毎月同じ金額を買うため、株価が下がれば安い値段で多くの株数を買い、株価が上がった高い値段では少ない株数を買い付けていくことになるので、全体として買値が安くなり、購入コストが下がります。
どのような投資商品があるか?
積極的な運用で資産形成を行うための選択肢には、新興株(上場して間もない小さな企業の株)や新興国(中国やインドなど成長国)の株式や先物取引などのリスクが大きいものから、例えば国債などの比較的リスクが小さいものもあります。
投資商品によって、リターンとリスクに差がありますが、投資をすることによって、老後のための資金がなくなってしまっては元も子もありません。
従って、投資を行う際は自己資金の余裕資金内で、生活に支障を及ぼさない範囲内にとどめておくべきでしょう。
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