サーキットブレーカー制度について
商品先物市場では、突発的なニュースなどにより大量の売買注文が殺到し、価格が急激に変動する場合がありますが、このような急変動は、市場の公正性や投資家の冷静な判断を損なうおそれがあります。
大阪取引所(OSE)および東京商品取引所(TOCOM)では、一定の範囲を超える価格変動が発生した際に、過度な値動きを抑制する観点から一時的に取引を停止する「サーキットブレーカー制度」を導入しています。
この制度により、市場の混乱を抑制し、市場の安定性を確保しています。
OSE・TOCOMにおけるサーキットブレーカー
OSEおよびTOCOMでは、サーキットブレーカー制度として、Static Circuit Breaker(SCB)とDynamic Circuit Breaker(DCB)の2種類を採用しており、それぞれ異なる仕組みで市場の過熱を抑える役割を担っています。
【SCB(サーキットブレーカー制度】
- 1営業日内の急激な値動きに対して発動。(ゴム、農産物市場は除く。)
- 前日の清算値段を基に、設定された制限値幅(※)の上限または下限の値段で売買注文が対当した時に発動。
- 10分間取引が中断。⇒制限値幅が拡大されて取引再開。
【DCB(即時約定可能幅】
- 短時間内の急激な値動きに対して発動。
- 各商品で定められた即時約定可能幅(※)を超える値段で売買注文が対当した時に発動。
- 30秒間取引が中断。⇒基準値段が変更されて取引再開。
SCBの発動例
SCB発動時の例
- 前営業日の清算値段は21,500円
- 制限値幅は初期値±5%、拡大時±10%
-
市場にある注文は下記の通り
売:22,576円(20枚)
売:22,575円(10枚)
売:22,574円(5枚)
※22,576円の売注文はSCB発動前時点では取引所には受け付けられていません
22,575円の買指値注文が30枚発注されました。
SCBが発動し、10分間取引が中断されます。
DCBの発動例
DCB発動時の例
- 直近の約定値段は21,550円
- DCB幅は上下40円
-
市場にある注文は下記の通り
買:21,555円(5枚)
買:21,520円(10枚)
買:21,500円(20枚)
21,500円の売指値注文が50枚発注されました。
DCBが発動し、30秒間取引が中断されます。
- 成行注文がDCB発動のきっかけとなった場合、その注文は失効となります。
寄付板合わせ(オープニング・オークション)における、即時約定可能値幅(DCB値幅)
寄付板合わせに適用する即時約定可能値幅(DCB値幅)は、通常時(ザラバ)におけるDCB値幅よりも広くなります。
【寄付板合わせ(オープニング・オークション)時におけるDCB発動のイメージ】
- 寄付板合わせ(オープニング・オークション)時における対等値段が、DCB値幅(寄付板合わせ(オープニング・オークション)用DCB値幅が適用されます)の範囲外で有る場合にDCBを発動します(上図①)
- DCB解除時の対等値段が直近のDCB値幅(ザラバ用DCB値幅が適用されます)の範囲外で有る場合は連続してDCBを発動し、以後、対等値段が直近のDCB値幅の範囲内となって板合わせが行われるまで繰り返します。(上図②・③・④) なお、2回目のDCBの際はDCB基準値段の更新は行われません。
引板合わせ(クロージング・オークション)時における約定可能値幅
終値での注文成立機会を向上させる観点から、引板合わせ(クロージング・オークション)時における約定可能値幅は、通常時(ザラバ)におけるDCB値幅よりも広くなります。
日中立会および夜間立会の引板合わせ(クロージング・オークション)時に適用する約定可能値幅が変更されます。適用する約定可能値幅は、ザラバにおける即時約定可能値幅(DCB値幅)よりも拡大した値幅となります。
弊社ツールでのSCB・DCB発動時の主な表示箇所
D-touch
D-station
Presto
DIAS(Pro)
各商品のSCBの制限値幅およびDCB幅についての詳細はこちら
SCBとDCBはいずれも、市場の混乱を防ぎ、健全な価格形成を支えるための安全装置です。取引参加者にとっても、市場が冷静さを取り戻すための「クールダウン」の仕組みとして機能しています。
【注意事項】
- SCB、DCB発動中は、注文を発注することはできますが、成立しません。
- お客様の成行注文がDCB発動のきっかけとなった場合、その注文は失効となります。
- DCB発動後に基準値段が変更された後、連続でDCBが発動することもある為、DCB発動中に成行注文を発注した場合、直前の約定値段から大きく乖離して注文が成立することもありますので、注意が必要です。
商品先物取引にかかる重要事項
商品先物取引の委託者証拠金とレバレッジにつきまして
商品先物取引は委託に際して委託者証拠金の預託が必要となり、最初に預託する委託者証拠金の額は商品により異なります。最低取引単位(1枚)当たり片建証拠金の額は、株式会社日本証券クリアリング機構(JSCC)が算出したVaRパラメータに基づき弊社が定めた額です。商品先物取引の取引金額(商品価格×倍率)に対する委託者証拠金の割合は常に一定ではなく、実際の取引金額は委託者証拠金の十数倍から数十倍(オプション取引を除く)という著しく大きな額になります。
また、委託者証拠金は、その後の相場変動により追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。その額は、商品や相場の変動によって異なります。
- 弊社ホームページ等に記載されている商品先物取引とは、商品関連市場デリバティブ取引及び商品デリバティブ取引を総称して表記しており、各売買取引に対し関係法令及び諸規則等に基づく運用及び管理を行っております。
商品先物取引のリスクにつきまして
商品先物取引は、商品先物市場の価格変動、為替相場や株式市場等が予測に反して推移した場合は、損失が生ずる可能性があり、価格変動の幅が小さくても総取引金額では大きな額の変動となる為、その変動の幅によっては損失が預託した証拠金を上回るおそれがあります。
商品先物取引の手数料につきまして
商品先物取引の委託には委託手数料がかかります。その額は商品によって異なり、プレミアムオンライン取引においては最低取引単位(1枚)当たり片道最高1,980円(税込)セルフコースにおいては345円(税込)です。
商号等:北辰物産株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第3184号、商品先物取引業者 農林水産省指令4新食第2087号、経済産業省20221128商第9号、加入協会:日本証券業協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人日本投資顧問業協会