先物取引のリスクとメリット

資産運用の基礎知識 Vol.11

先物取引のリスクとメリット

先物取引とは、ある商品を未来の決められた日にあらかじめ取り決めた価格で売買取引することです。
原油や金といった資源、大豆、トウモロコシなど穀物の農作物が中心ですが、株式なども取引対象としていることもあります。
ここでは、先物取引のメリットとリスクについてご紹介します。

先物取引の特徴

まずは先物取引の特徴についてご紹介します。
先物取引は他の投資と異なり、売買期間が定められているという特徴があります。

通常の投資であれば、一般的にその金融商品を購入してから期間を区切らずに保有できます。
たとえば、株価や通貨の価値が下がった場合でも、元の価値に戻るまで売却せずに待つことができます。

一方、先物取引では取引期間が決められているため、仮に損失が出ていても期限が来た場合、取引を終了する必要があります。
決められた期日に仕切しなければならないので、もう少し保有して利益を増やしたい、価値が回復するまでもう少し待ちたい、といった事ができません。

また、差金決済が行われる点も先物取引の特徴です。
差金決済とは、建てた時点と仕切した時点での差額、つまり、売買によって生じた差額のみを受け払いする方法のことをいいます。
取引期限までに差金決済を行えば、商品を搬送したり受け取ることなく、「差額(損益)のみを受け取る・支払う」ことで清算されるため、コストは業者に支払う売買による手数料だけで済むという特徴があります。

証拠金によって取引する

先物取引やFXは、担保として証拠金を入金することで取引ができますので、初期投資の資金が少額で済むという特徴があります。
これをレバレッジ(てこの原理)と呼びます。
少額で大きなお金を動かせるため、資産が爆発的に膨らむ可能性もありますが、その逆に、証拠金による取引には相応のリスクを伴います。
大きな金額を動かすことになるため、想像以上の損失が発生することも少なくありません。
爆発的に資産を増やす事ができる可能性を秘めている反面、大きな損失を被り、場合によっては、投下した資金以上の損失が発生する可能性もあり、ハイリスク・ハイリターンな取引です。

先物取引に関する注意点

上記のとおり、先物取引は特殊な性質を持った金融商品であり、ハイリスク・ハイリターンの取引であることから、その商品特性を理解し、投下した資金を全て失っても、生活に支障がでない余裕資金の範囲内で行う必要があるといえます。

このように、先物取引は特徴やリスクなどをきちんと理解してから運用しないと、大きな損害を出してしまう可能性があります。
先物取引をこれから始めるという方は、専門書などを読みきちんと勉強してから、専門のアナリストに相談できるような取引コースなどを選んで運用を始めると良いのではないでしょうか。

先物取引は大きな利益を生み出す可能性を秘めています。しかし、その一方で相場の見通しが外れた場合、大きな損失を抱えるリスクがあることを理解しておかなければなりません。

そのため、保有資産を全額投資して運用するのではなく、一部資産を先物取引で運用し、例えば利益が出たらその分を長期間保有する投資信託などに投資していくなど、資産運用全体のバランスを考えながら運用を行うと良いでしょう。

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