オプション取引の戦略
オプション取引の基礎知識 vol.9
金オプションの手数料および取引倍率等についてはこちらをご確認ください。
価格変動と取引戦略例
予想 | ||||
---|---|---|---|---|
上昇する | どちらに動くかわからない | 下落する | ||
変動幅 | ||||
大きく変動する | コールの買い | ①ロング・ストラングル | プットの買い | |
ある程度変動する |
⑤レシオ・コール・スプレッド ⑥バーティカル・ブル・スプレッド |
②ロング・ストラドル |
⑦レシオ・プット・スプレッド ⑧バーティカル・ベア・スプレッド |
|
あまり変動しない | 先物の買い | ③ショート・ストラングル | 先物の売り | |
変動しない | プットの売り | ④ショート・ストラドル | コールの売り |
以下でそれぞれの取引戦略の例を紹介します。
①ロング・ストラングル
「コールの買い」+「プットの買い」
相場が大きく上昇、あるいは大きく下落すると予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 大きなイベントを控え、その結果によって金の価格が大きく動きそうだが、どちらに動くかはわからない。そこで、値上がり、値下がりどちらでも利益を狙えるように4450円のコールをプレミアム15円で、4350円のプットをプレミアム15円でそれぞれ1枚買い付けた。
このように、権利行使価格の異なるコールオプションの買いとプットオプションの買いを持つ戦略をロング・ストラングルと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4800円まで上昇していた場合
4450円のコールを権利行使、プットは権利放棄、最終的な損益は
(4800円-4450円-15円)×100g-(15円×100g)=+32000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4000円まで下落していた場合
4400円のプットを権利行使、コールは権利放棄、最終的な損益は
(4350円-4000円-15円)×100g-(15円×100g)=+32000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4350円~4450円に留まった場合
コールもプットも権利放棄、最終的な損益は
(-15円×100g)-(15円×100g)=-3000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4320円以下、4480円以上で利益、4320円~4480円内で損失 |
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最大利益 | 無制限 |
最大損失 | -3000円(4350円~4450円のとき) |
②ロング・ストラドル
「コールの買い」+「プットの買い」
相場が短期的に大きく上昇、あるいは大きく下落すると予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 大きなイベントを間近に控え、その結果によって金の価格が大きく動きそうだが、どちらに動くかはわからない。そこで、値上がり、値下がりどちらでも利益を狙えるように4400円のコールをプレミアム30円で、4400円のプットをプレミアム30円でそれぞれ1枚買い付けた。
このように、権利行使価格の等しいコールオプションの買いとプットオプションの買いを持つ戦略をロング・ストラドルと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4800円まで上昇していた場合
4400円のコールを権利行使、プットは権利放棄、最終的な損益は
(4800円-4400円-30円)×100g-(30円×100g)=+34000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4000円まで下落した場合
4400円のプットを権利行使、コールは権利放棄、最終的な損益は
(4400円-4000円-30円)×100g-(30円×100g)=+34000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4400円のまま変わらなかった場合
コールもプットも権利放棄、最終的な損益は
(-30円×100g)-(30円×100g)=-6000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4340円以下、4460円以上で利益、4340円から4460円内で損失 |
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最大利益 | 無制限 |
最大損失 | -6000円(4400円のとき) |
③ショート・ストラングル
「コールの売り」+「プットの売り」
相場がもみ合いであまり動かないと予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 大きな材料もなく、このまましばらくは持ち合いが続きそうだと考えた。そこで、価格が4350円から4450円内に留まったときに利益が出るよう、4450円のコールオプションと、4350円のプットオプションをプレミアム15円でそれぞれ1枚売り付けた。
このように、権利行使価格の異なるコールオプションの売りとプットオプションの売りを持つ戦略をショート・ストラングルと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4350円~4450円に留まった場合
コールオプションもプットオプションも義務消滅となるため、プレミアム分がそのまま利益となる
(+15円×100g)+(15円×100g)=+3000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり金価格が4000円まで下落した場合
コールオプションは義務消滅、プットオプションは義務割当となるため、最終的な損益は
(+15円×100g)
-(4350円-4000円)×100g+(15円×100g)=-32000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4800円まで上昇した場合
コールオプションは義務割当、プットオプションは義務消滅となるため、最終的な損益は
-(4800円-4450円)×100g+(15円×100g)+(15円×100g)=-32000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4320円~4480円で利益、4320円未満あるいは4480円超過で損失 |
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最大利益 | +3000円(4350円~4450円のとき) |
最大損失 | 無制限 |
④ショート・ストラドル
「コールの売り」+「プットの売り」
相場がもみ合いで動かないと予想した場合の戦略。上記③よりもさらに相場が動かないと予想した際に有効な戦略となります。
【取引例】
- 大きな材料もなく、このまましばらくは値が動かないだろうだと考えた。そこで、価格が4400円に留まったときに最大の利益が出るよう、4400円のコールオプションと、4400円のプットオプションをプレミアム30円でそれぞれ1枚売り付けた。
このように、権利行使価格の等しいコールオプションの売りとプットオプションの売りを持つ戦略をショート・ストラドルと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4400円の場合
コールオプションもプットオプションも義務消滅となるため、プレミアム分がそのまま利益となる
(+30円×100g)+(30円×100g)=+6000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり金価格が4000円まで下落した場合
コールオプションは義務消滅、プットオプションは義務割当となるため、最終的な損益は
(+30円×100g)-(4400円-4000円)×100g+(30円×100g)=-34000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4800円まで上昇した場合
コールオプションは義務割当、プットオプションは義務消滅となるため、最終的な損益は
-(4800円-4400円)×100g+(30円×100g)+(30円×100g)=-34000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4340円~4460円で利益、4340円未満あるいは4460円超過で損失 |
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最大利益 | +6000円(4400円のとき) |
最大損失 | 無制限 |
⑤レシオ・コール・スプレッド
「コールの買い」+「コールの売り」×2
相場が一定の値まで上昇し、それ以上にはならないと予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 現在4300円の金価格が4500円くらいまで上昇し、かつそれ以上にはならないと予想。そこで、4300円のコール・オプションを30円で1枚買い付け、4500円のコール・オプションを10円で2枚売り付けた。
このように、権利行使価格の安いコールオプションの買いと、権利行使価格の高いコールオプションの売りを、売り枚数が買い枚数の2倍になるように持つ戦略をレシオ・コール・スプレッドと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4500円のとき
コール・オプションの買いは権利行使、コール・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
(4500円-4300円-30円)×100g+(10円×100g×2枚)=+19000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4300円以下のとき
コール・オプションの買いは権利放棄、コール・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
-(30円×100g)+(10円×100g×2枚)=-1000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり5000円のとき
コール・オプションの買いは権利行使、コール・オプションの売りは義務割当となり、最終的な損益は
(5000円-4300円-30円)×100g-{(5000円-4500円)×100g×2枚}+(10円×100g×2枚)=-31000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4310円~4690円で利益、4310円未満あるいは4690円超過で損失 |
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最大利益 | +19000円(4500円のとき) |
最大損失 | 無制限 |
⑥バーティカル・ブル・スプレッド
「コールの買い」+「コールの売り」
相場が一定の値まで上昇すると予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 現在4300円の金価格が4500円くらいまで上昇しそうと予想。そこで、4300円のコール・オプションを30円で1枚買い付け、4500円のコール・オプションを20円で1枚売り付けた。
このように、権利行使価格の安いコールオプションの買いと、権利行使価格の高いコールオプションの売りを、買い枚数と売り枚数が等しくなるように持つ戦略をバーティカル・ブル・スプレッドと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4500円のとき
コール・オプションの買いは権利行使、コール・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
(4500円-4300円-30円)×
100g+(20円×100g)=+19000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4300円以下のとき
コール・オプションの買いは権利放棄、コール・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
-(30円×100g)+(20円×100g)=-1000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4700円のとき
コール・オプションの買いは権利行使、コール・オプションの売りは義務割当となり、最終的な損益は
(4700円-4300円-30円)×100g-(4700円-4500円)×100g+(20円×100g)=+19000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4310円超過で利益、4310円未満で損失 |
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最大利益 | +19000円(4500円以上のとき) |
最大損失 | -1000円(4300円以下のとき) |
⑦レシオ・プット・スプレッド
「プットの買い」+「プットの売り」×2
相場が一定の値まで下落し、それ以下にはならないと予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 現在4300円の金価格が4100円くらいまで下落し、かつそれ以下にはならないだろうと予想。そこで、4300円のプット・オプションを30円で1枚買い付け、4100円のプット・オプションを10円で2枚売り付けたした。
このように、権利行使価格の高いプットオプションの買いと、権利行使価格の安いプットオプションの売りを、売り枚数が買い枚数の2倍になるように持つ戦略をレシオ・プット・スプレッドと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4100円のとき
プット・オプションの買いは権利行使、プット・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
(4300円-4100円-30円)×100g+(10円×100g×2枚)=+19000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4300円以上のとき
プット・オプションの買いは権利放棄、プット・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
-(30円×100g)+(10円×100g×2枚)=-1000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり3500円のとき
プット・オプションの買いは権利行使、プット・オプションの売りは義務割当となり、最終的な損益は
(4300円-3500円-30円)×100g-{(4100円-3500円-10円)×100g×2枚}=-41000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 3910円~4290円で利益、3910円未満あるいは4290円超過で損失 |
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最大利益 | +19000円(4100円のとき) |
最大損失 | 無制限(実際には金価格が0円以下にはなることはないため-390900円) |
⑧バーティカル・ベア・スプレッド
「プットの買い」+「プットの売り」
相場が一定の値まで下落すると予想した場合に有効な戦略。
【取引例】
- 現在4300円の金価格が4100円まで下落しそうと予想。そこで、4300円のプット・オプションを30円で1枚買い付け、4100円のプット・オプションを20円で1枚売り付けた。
このように、権利行使価格の高いプットオプションの買いと、権利行使価格の安いプットオプションの売りを、買い枚数と売り枚数が等しくなるように持つ戦略をバーティカル・ベア・スプレッドと言います。
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4100円のとき
プット・オプションの買いは権利行使、プット・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
(4300円-4100円-30円)×100g+(20円×100g)=+19000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり4300円以上のとき
プット・オプションの買いは権利放棄、プット・オプションの売りは義務消滅となり、最終的な損益は
-(30円
×100g)+(20円×100g)=-1000円
■ 権利行使日の金価格が1g当たり3800円のとき
プット・オプションの買いは権利行使、プット・オプションの売りは義務割当となり、最終的な損益は
(4300円-3800円-30円)×100g-(4100円-3800円)×100g+(20円×100g)=+19000円
この戦略をとったときの損益図
損益分岐点 | 4290円未満で利益、4290円超過で損失 |
---|---|
最大利益 | +19000円(4100円以下のとき) |
最大損失 | -1000円(4290円以上のとき) |
オプション取引の基礎知識メニュー
商品先物取引にかかる重要事項
商品先物取引の委託者証拠金とレバレッジにつきまして
商品先物取引は委託に際して委託者証拠金の預託が必要となり、最初に預託する委託者証拠金の額は商品により異なります。最低取引単位(1枚)当たり片建証拠金の額は、株式会社日本証券クリアリング機構(JSCC)が算出したVaRパラメータに基づき弊社が定めた額です。商品先物取引の取引金額(商品価格×倍率)に対する委託者証拠金の割合は常に一定ではなく、実際の取引金額は委託者証拠金の十数倍から数十倍(オプション取引を除く)という著しく大きな額になります。
また、委託者証拠金は、その後の相場変動により追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。その額は、商品や相場の変動によって異なります。
- 弊社ホームページ等に記載されている商品先物取引とは、商品関連市場デリバティブ取引及び商品デリバティブ取引を総称して表記しており、各売買取引に対し関係法令及び諸規則等に基づく運用及び管理を行っております。
商品先物取引のリスクにつきまして
商品先物取引は、商品先物市場の価格変動、為替相場や株式市場等が予測に反して推移した場合は、損失が生ずる可能性があり、価格変動の幅が小さくても総取引金額では大きな額の変動となる為、その変動の幅によっては損失が預託した証拠金を上回るおそれがあります。
商品先物取引の手数料につきまして
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