実質的支配者のご申告につきまして
平成27年の犯罪収益移転防止法施行規則改正(平成28年10月1日施行)により、弊社は法人のお客様に対し、議決権その他の手段により、事業経営を実質的に支配することが可能な実質的支配者を、自然人まで遡って確認させていただくこととなりました。お手数をお掛けいたしますが、下記の図、具体例等をご参考に実質的支配者をご申告いただきますようお願い申し上げます。
実質的支配者とは
実質的支配者とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者をいい、どのような者が該当するかについては、法人の性質に従って定められています。
図1:資本多数決法人である場合
- 法人の議決権の25%超を直接または間接に有している自然人が実質的支配者に該当する。(ただし、他に50%超の議決権を直接または間接に有している自然人がいる場合等を除く。)また、25%の計算に当たっては、直接保有、間接保有の合計とする。
図2:資本多数決法人でない場合
- 自然人とは、近代法のもとで権利能力がみとめられる社会的実在としての人間を指します。法人に対する概念であり、単に人ともいいます。
- 資本多数決法人とは、株式会社、投資法人、特定目的会社等を指します。資本多数決法人でない法人には、一般社団・財団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利法人、持分会社(合名会社、合資会社及び合同会社)等があります。
- 取引時点での実質的支配者の該当性の判断については、合理的な範囲で近接した時点(例えば、直近の株主総会開催時)での状況により判断することも認められます。
- 該当する自然人が複数いる場合には、その全てが実質的支配者に該当することとなります。
- 議決権の25%超を保有する自然人(法人の収益総額の25%超の配当を受ける自然人)であっても、他に議決権の50%超を保有する自然人(法人の収益総額の50%超の配当を受ける自然人)が存在する場合は、25%超の議決権を保有していても(法人の収益総額の25%超の配当を受けていても)、実質的支配者には該当しません。この場合、議決権の50%超を保有する自然人(法人の収益総額の50%超の配当を受ける自然人)が実質的支配者に該当することとなります。
実質的支配者の具体例
ケース①
自然人C氏は、法人Bの60%の議決権を保有。法人Bが、法人Aの30%の議決権を保有している場合、自然人C氏は、法人Aの実質的支配者に当たります。
- 自然人C氏は法人Bの議決権を50%超保有しており、法人Bを通じて間接的に法人Aの議決権を30%保有していることになります。もし、自然人C氏が法人Bの議決権を50%以下しか保有していない場合は、自然人C氏は法人Aの実質的支配者には当たりません。
ケース②
自然人C氏は、法人Bの80%の議決権を保有。法人Bが、法人Aの議決権の20%を保有している場合、自然人C氏は、法人Aの実質的支配者に当たりません。
- この場合、法人Bは法人Aの議決権を20%保有しているのであり、25%超ではありません。自然人C氏が法人Bの議決権の80%を保有していたとしても、自然人C氏は法人Aの実質的支配者には当たりません。
ケース③
自然人C氏は、法人Aの議決権の15%を直接保有。さらに自然人C氏は、法人Aの議決権を20%保有する法人Bの議決権を80%保有している。この場合、自然人C氏は、法人Aの実質的支配者に該当します。
- 法人Aの議決権を20%保有する法人Bの議決権の50%超を保有している自然人C氏は、法人Aの議決権を15%直接保有しているので、議決権保有割合は、間接保有の20%と直接保有している15%を合算して35%となるため、自然人C氏は法人Aの実質的支配者となります。自然人C氏が法人Bの議決権の50%超を有する場合のみ、間接保有として計算します。したがって、自然人C氏が法人Bの議決権を50%以下保有の場合は、自然人C氏の法人Aに対する議決権保有割合は直接保有の15%のみと計算され、実質的支配者には当たりません。
ケース④
自然人C氏は、法人Bの議決権を80%、法人Dの議決権を60%、法人Eの議決権を60%、それぞれ保有。法人Bは法人Aの議決権の15%、法人Dは法人Aの議決権の20%、法人Eは法人Aの議決権の15%をそれぞれ保有していた場合、自然人C氏は法人Aの実質的支配者に該当します。
- この場合、自然人C氏は、法人B、法人D、法人Eの議決権を50%超を有していることから、自然人C氏の議決権保有割合は、法人B、法人D、法人Eが保有する議決権を合算(15%+20%+15%)した50%の間接保有となり、自然人C氏は法人Aの実質的支配者となります。
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