割安感から年後半に掛けて大幅上昇に期待

特集:白金相場

~ 2024年8月26日掲載 ~

金融市場が歴史的な動きを見せる中、白金相場は?

2024年は金が国内外共に史上最高値を更新しました。

また、株式市場においてはNYダウ等米国株価指数、日経平均株価が史上最高値を更新。ドル円相場は7月に約37年半ぶりの高値を付けるなど、今年の金融マーケットは歴史に残る動きとなっております。そのような状況の下、国内白金先物価格も5月中旬に1ℊ=5,000円台に乗せると、5月20日には2008年8月以来となる同5,482円の高値を付けました。しかし、2010年代中盤までは白金に比べて安い価格で取引されるケースが多かった金の同日の高値は1g=12,283円でその価格差は何と6,801円にも上ります。また、金が7月まで相次いで史上最高値を更新していたのに対して、白金は5月まで上昇こそしていたものの過去最高値を付けた2008年3月6日高値7,427円には遠く及ばない状況にあります。

これだけを見ると、過去の金に対する優位性が大きく崩れており、この先も金優位な状況が続き、白金の史上最高値更新は現実的ではないと思う方は多いのかもしれません。しかし、白金の希少性の高さや需給関係、現在の金に対する大幅な出遅れ感などに目を向けると、この後、金との価格差縮小や史上最高値更新の可能性は否定できないと思われます。

それでは、白金のこれまでの価格推移の流れと今後の見通しについて紐解いていきたいと思います。

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何故、金との価格差が逆転?

なぜ金より希少価値が高いにも拘わらず、現在これだけの価格差が生じたのでしょうか。そこを考えるには、先ずは白金と金の需要面での特性がポイントとなります。

金と白金の価格推移

白金と金の需要と供給の違い

国際調査機関ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)によりますと、プラチナの2023年の鉱山生産は174.3トンです。これにリサイクルなどの二次供給を含めると年間供給量は223.1トンになります。一方、金の鉱山生産は3644.4トンに上り、リサイクル等を含めた年間供給量は4898.8トンです。白金の供給量は金と比較すると約22分の1となり、希少性は白金の方がはるかに高いと言えます。

需要面では白金の年間総需要は249.5トンで、そのうち7割超が自動車触媒や化学製品などの工業用需要で占められております。金の年間総需要は4448.4トンとなり、そのうち約7割が宝飾品や金地金、コインといった投資需要で占められており、工業用需要は1割にも満たないといった特徴があります。

白金需要の内訳
金需要の内訳

強材料と弱材料

白金と金の需要面をみると、金は宝飾品としての需要が総需要の約5割を占め、工業用需要は1割にも満たないのに対して、白金は工業用需要が7割超となるため景気の影響を大きく受けます。実際に2008年9月のリーマンショックの際は金融不安から世界的に景気が後退し、国内金が同年7月22日高値3363円から10月27日安値2104円まで1259円の下落となったのに対し、国内白金は同年3月6日高値7427円から12月12日安値2276円まで5151円もの大幅な下落になりました

同様に新型コロナショック時の2020年には、国内金が同年2月25日高値5913円から3月17日安値4876円まで1037円の下落となったのに対し、国内白金は同年1月17日高値3679円から3月17日安値1843円まで1836円の下落であり、金の下落幅を上回っています。

一方、金は「安全資産」としての特性を併せ持っているため、戦争や金融不安など有事の際にリスク回避の動きから買われる傾向にあります。このため、両ショックが発生したあと回復期にかけて金、白金は共に買われましたが、「安全資産」としての特性を持つ金の方が白金よりも選好されて持続的に上昇したため、現在のような価格差へ変遷したと考えられます。

さらに、金と白金の価格差逆転を決定付けたとみられるのが、2015年のドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正操作問題です。この事件をきっかけにディーゼル車への信頼が大きく損なわれて販売不振に陥り、2000年代序盤の白金価格の上昇を支えてきたディーゼル車向けの自動車触媒用需要が大きく落ち込み、国内白金は2015年1月21日に戻り高値4933円を付けて以降、2020年3月17日に安値1843円を付けるまで長期に亘り下落基調を強いられたことが、金との価格差逆転を決定付ける要因になったと思われます。

このように、白金と金の需要面での違いが両者の価格逆転に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

現在の需給要因と新たな需要拡大期待

それでは、現在の白金の需給関係はどのような状況となっているのかを見てみましょう。

金が比較的多くの国で生産されるのに対し、白金は南アフリカ、ロシア、ジンバブエ、北米と生産国が極めて限られております。この偏在の理由は、プラチナを含むPGM(白金族元素)を多く含んだ巨大隕石が現在の白金の生産国に落ちたという説が有力です。これらの生産国の中で、南アフリカが世界生産の約7割以上のシェアを誇っております。そのため、南アフリカの生産に関わる電力不足や鉱山ストなどが発生した場合、白金価格は大きく反応する傾向にあります。

世界国別白金供給量推移
2023年世界の白金供給量比率

南アフリカで今年5月29日に投票が行われた総選挙で与党・アフリカ民族会議(ANC)は得票率が約40%に低下するなど、過去30年で初めて過半数議席を失う大敗を喫しました。背景には同国の政治腐敗に伴う高い失業率と低成長とされており、今後も政情不安が懸念される状況にあるといえそうです。そうした中、ここ数年、同国の電力不足は深刻化しており、今年に入ってからは電力供給にやや改善はみられるものの、同国の電力公社エスコムは2024年冬の計画停電見通しについて最大で1回2時間、4日間に6回程度実施するとしています。電力の安定的な供給が困難な状況は、消費電力の激しい鉱山生産にとって大きな重石となり、白金の減産観測を強める可能性が考えられます。

一方、需要面については、消費大国である中国の景気動向がカギを握っているといえそうです。

不動産不況の長期化などを背景に中国景気の回復は力強さを欠く状況が続いています。 ただ、中国当局は内需の拡大に向けて、今後消費の刺激に力を入れるとしているほか、不動産不況への対策を強化していく方針を示しており、実効性のある対策が打ち出された場合、同国による白金需要の拡大が期待されます。

国際調査機関、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の最新リポートによると、2024年の白金の世界需給は昨年に続き2年連続の供給不足に陥る見通しです。南アフリカの供給量が生産増強の遅れなどを背景に減少する見込みのほか、ロシアの供給量も数十年来の低水準になるとしています。また、自動車排ガス浄化装置などを手がけるジョンソン・マッセイ社も2024年の白金市場は過去10年で最大の供給不足に見舞われるとの見通しを示しております。

  

新たな需要増加要因

地球温暖化に対する取り組みとして、世界的に環境問題に対する意識が高まっていますが、自動車産業ではカーボンニュートラル達成のため、HEV(ハイブリッド)車、FCV車(水素燃料車)の普及が期待されています。その中の一部で利用される燃料電池にはプラチナが使用されているほか、太陽光発電設備等、再生可能エネルギーの分野でも需要が高まることが期待されています。

しかし、これはまだ長期的な視点での見方であり、まだ暫くは内燃機関(エンジン)を搭載した自動車の生産が続くことが予想されます。プラチナは、内燃機関エンジン搭載のガソリン車の浄化装置媒体としての需要もありますが、現在、同じ白金族であるパラジウムよりも安価なため、プラチナへ再シフトする動きも見られます。こうした工業用としての活用がさらに進めば、今後の価格上昇にも期待が持てるのではないでしょうか。

環境問題に対する白金の需要

世界的には金融緩和への動き

2024年3月19日に行われた金融政策決定会合で、日銀は2%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況となったとの判断で、それまでの金融緩和政策について修正することを決め、金融引き締めへと舵を切りました。一方、世界の主要中央銀行は、逆に金融緩和に向けた動きが出始めています。スイス中央銀行は今年3月の会合で政策金利を0.25ポイント引き下げ、世界の主要中央銀行に先駆けて金利の引き下げに踏み切りました。また、米国も2022年6月をピークに物価は鈍化しており、さらに雇用関連指標にも弱さが見られることなどから、市場では利下げ観測が高まっています。

過去の米国の金融緩和期(リーマンショック後やコロナショック後)には、過剰流動性(いわゆる「金余り」の状態)に伴い、株やコモディティが買われやすい状況となりました。同時期の値動きを見ると、金や白金は共に上昇しています。現在、金はすでに史上最高値圏にあるため、今後の伸び代を考えた場合には、金に比べて出遅れ感が強く、さらに先行きの需要増加に期待の持てる「白金」に投機資金がシフトする可能性も考えられます。

年末に掛けて大相場に発展する可能性も!?

                

現在、大阪取引所の金と白金の証拠金比は、歴史的な値動きを続けているにも拘わらず、金は証拠金が割高のため割安な白金に投機資金がシフトする可能性も考えられます。

白金は金に比べると決して市場規模は大きくなく、2024年でこれまで一番取引量が多かった5月の国内白金の出来高が356,433枚であったの対し、国内金の同月の出来高は1,030,365枚と出来高は金の約3分の1程度に留まっています。その市場に大規模な投機資金が流入した場合、我々が想定する以上の大相場へと発展する可能性も秘めているのではないでしょうか。

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