〜2020年12月2日作成〜

2020年3月にコロナショックで急落した株式、国際商品は、各国中央銀行による金融緩和策や政府による財政出動などを受けて、年後半に掛けて株式、素材関連銘柄、貴金属を中心に大きく値を戻しました。

その中でも特に目を引いたのが、新型コロナの爆発的な感染拡大にも拘わらず、同年3月下旬以降ほぼ一本調子で上昇を続けているNYダウ工業株30種とナスダック総合指数。また、コロナ禍で安全資産として人気を集め、同年8月にドル建て、円建て共に史上最高値を更新した金です。

一方で、工業用需要の多いプラチナは、新型コロナによる根強い景気減速懸念などにより、3月の安値からは回復しているものの上値は重く、2015年から続く長期低迷からは抜け出せずにおりました。

ところが、2020年11月3日に行われた米大統領選の前後から、プラチナを取り巻く環境に大きな変化の兆しが見え始めております。そのきっかけとしては、米大統領選でバイデン氏が勝利を確実にした事で、今後クリーンエネルギー・環境政策が推し進められ、プラチナ需要の増加期待が高まった事が一つの要因と考えられます。

プラチナ、米新政権誕生で長期低迷から脱却に向かうのか?

新大統領に就任する予定のバイデン氏は主要な政策に
1. 新型コロナ対策
2. 1.3兆ドル(約136兆円)に及ぶ経済対策
3. パリ協定への復帰
4. 2兆ドル(約209兆円)の気候変動対策、再生エネルギー投資

などを掲げております。
中でもプラチナにとって期待されているのは「パリ協定への復帰」と「2兆ドル(約210兆円)の気候変動対策、再生エネルギー投資」に伴う燃料電池の需要増加観測です。

既に金融市場は、新政権発足後の政策等を先取りして動き始めているようで、NYダウ工業株30種は大統領選前から再び騰勢を強め、11月24日には史上初めて3万ドルの大台を突破しました。

現在、新型コロナウイルスのワクチンは実用化に向けて進んでおりますが、世界経済の鈍化観測は根強く、世界的な金融緩和策の長期化や、今後も各国政府による財政出動などが続く可能性が充分考えられます。

この様な状況下で、プラチナも今後注目される可能性が高いと考えます。プラチナは2015年以降、欧州大手自動車メーカーの排ガス不正問題等を受け、ディーゼル車離れによる触媒需要の減少に伴い下落基調が続いており、他貴金属に比べても割安な値位置になっております。

米新政権の政策実施に伴いプラチナの需要増加が見込まれ、供給量の限られたプラチナのような貴金属が争奪戦になるような事態が起こると、大きな上昇に繋がる可能性も充分考えられます。

米新政権発足後の、またwithコロナ時代のプラチナの動向を探ってみましょう。

【プラチナの特性・変動要因】

プラチナは、美しい輝きと清澄・閑寂な趣を持ち合わせていることから、古来より日本人に親しまれ人気がありました。しかも、生産量が少なく金と比較しても18分の1程度と希少価値が高い事から、かつては金価格の2倍以上していた時期もあります。

ところが、現在はプラチナが1g=3,173円(2020年11月30日 2021年10月限清算値)、金が1g=5,916円(同)と逆に2倍近く金の方が高くなっております。

プラチナ価格を占う上で重要なポイントは需給動向です。

プラチナ需給の大きな特徴は、南アフリカ一国で世界の総生産量の約72%を占める極端に偏った供給面と、貴金属でありながら総需要の60%以上が工業用で、そのうち約60%が自動車の触媒に使われるといった需要面です。このため、自動車の売れ行きを左右する景気動向などに価格は反応しやすくなっております。
当然、鉱山生産量など供給面も重要な要因になりますが、2015年以降のプラチナ価格長期低迷の理由としては、需要面の影響が大きいと考えられます。

そこで、2015年から現在までの、市場で起こった主な出来事をまとめてみますと

  • 1. 欧州大手自動車メーカーによる排ガス不正問題
  • 2. 英国のEU離脱
  • 3. 米中貿易戦争
  • 4. 新型コロナウイルス感染拡大

特に、欧州大手自動車メーカーの排ガス不正問題等によりディーゼル車離れが進み、触媒需要の減少観測が強まったことが、その後の価格低迷に繋がった大きな要因と考えられます。
また、金と同様に実物資産としての側面も持っておりますが、金が米中貿易戦争激化や新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に安全資産としての買いを集め、2020年8月に史上最高値を更新したのに対して、プラチナは価格低迷などの理由から安全資産としての買いが然程入らなかった事も、金との明暗を分けた理由の一つと考えられます。

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米、パリ協定復帰で「脱炭素化社会」実現に向けた世界の足並みが本格的に揃う!!

注目された米大統領選は、バイデン氏の勝利が確実となりました。プラチナにとって最も注目されているのが、バイデン新政権の「環境・エネルギー政策」ではないでしょうか。

「米国第一」を掲げたトランプ大統領は、地球温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」から離脱を決めましたが、「クリーンエネルギー革命」を政策に掲げるバイデン氏は、同協定へ復帰することを明らかにしています。米国のパリ協定復帰により、世界が「脱炭素化社会」実現に向けて本格的に足並みが揃う事となります。

国際社会は、パリ協定の下で今世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること、つまり「脱炭素化」を目指しています。この脱炭素化に重要な役割を果たすとされているのが「グリーン水素※1」です。

今年に入ってからEUと70ヵ国以上の国が、このグリーン水素を利用して2050年までにカーボンニュートラル(※2)を達成することを宣言したことで注目を浴びており、EUは今後10年間で40ギガワットのグリーン水素電解容量達成と、2030年までに再生可能エネルギー生産を全体の32%まで増やそうとしています。

また、環境汚染が社会問題になっている中国では、2060年までにカーボンニュートラルを達成することを約束しております。日本でも菅首相が2050年までに温暖化排出ガスをゼロにする目標を表明しており、「脱炭素化社会」実現への取り組みは、世界規模となっています。

環境対策に伴う『燃料電池の需要増加』により、プラチナの需給ひっ迫感が強まる可能性も!

ここで重要なのは、グリーン水素を生産する際に、イリジウムとともに触媒として燃料電池に使われるのが「プラチナ」であるという事です。燃料電池車1台に使用されるプラチナの量は、小型車(80 kW)で1台当たり約32g、中型車(150 kW)で約60g、大型車(250 kW)で約150gといわれております。(北辰物産調べ)

この為、現在のEUと中国のグリーン水素生産能力の目標を達成する為だけでも、2030年までに延べ18.7トン以上のプラチナが必要といわれております。更に、今後この動きに米国が加わり世界的にカーボンニュートラル達成に向けて進んでいった場合、莫大な量のプラチナが必要となる事から、中長期的な需要増に繋がる要因として注目されています。

一方、供給面を見るとプラチナの鉱山生産量は年間僅か約189.5トン(2019年WPIC調べ)に止まっております。更に、限られた埋蔵量や鉱山設備の老朽化を考えると今後生産量は一段と減少し、世界的に需給ひっ迫感が強まる事が予想されます。

この様にバイデン新政権の発足をきっかけに、世界的な環境問題への取組みは一層強化される事が予想される事から、プラチナの需要増加要因として価格形成に大きな影響を与える可能性が充分考えられます。

※1グリーン水素は、生産過程に化石燃料を使わず、再生可能な電力を動力源として水を電解して作られる。
※2二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態になること。

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コロナショックにも拘わらず、足元の需給は約22トンの供給不足予想!

それでは、国際調査機関ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が公表したデータを基に、プラチナの足元の需給環境に目を向けてみましょう。

まずは需要サイドですが、WPICが公表した2020年第3四半期のデータによると、プラチナ需要は新型コロナの影響で大幅に減少した第2四半期から+74.9%(+35.3トン)、前年同期比でも+32.0%(+20.0トン)とかなり上昇していることがわかります。

需給バランス

WPIC公表のデータを基に北辰物産が作成 単位はトン

各需要の内訳を見てみると、需要増の要因としては、新型コロナにより減少していた工業用需要や宝飾需要がV字回復したということもありますが、それ以上に投資需要の大幅増加が影響していることが見て取れます。投資需要の拡大の背景としては、同じ貴金属である金やパラジウムに対して大幅な割安価格で取引されていることのほか、主に中国や欧州で推進されている水素エネルギーの製造や燃料電池車への需要から、将来の価格上昇を見込んだものとの見方が指摘されています。

次に供給サイドを見てみると、こちらも新型コロナの影響で、鉱山の閉鎖や触媒工場の操業停止が行われていたために、急激に減少していた第2四半期から+37.6%(+16.5トン)と大幅に回復したものの、前年同期比では-5.0%(-3.2トン)の減少となっております。

この結果、2020年第3四半期の需給バランス(需要−供給)は、22.1トンの供給不足見通しとなっております。

このように、コロナ禍においても需要が大幅に増加した一方で、供給が追いついていないことから、足元の需給は引き締まっている事が示されております。

尚、2020年11月19日付の日本経済新聞に掲載された記事に、WPICは2020年のプラチナの需給が、同機関が調査を始めた2013年以降で最大の37トンの供給不足になるとの見通しを公表しております。

金、パラジウム価格と比べて、強まる割安感!

ここで改めてプラチナと他金属との価格を比べてみましょう。

【パラジウム・金・イリジウム・プラチナ 月足チャート】

NY金月足チャート

プラチナは金に比べ、供給量がおよそ18分の1程度とより希少性が高いうえ、使用用途が多岐に渡ることなどから、歴史的に見てもプラチナ価格が高い時期の方が多い事がわかります。しかし、2015年に金価格がプラチナ価格を上回ってからは価格差が広がり、2020年に入ってからは金価格の急騰もあって価格差は約2倍に広がっております。

また、金だけでなくパラジウムと比較しても非常に低い水準で推移しています。

パラジウムはプラチナと同じ白金族金属で一部用途に互換性もあることから、元々はプラチナの代替品として扱われ、価格もプラチナと比較して安い時代が続いておりました。しかし、2015年以降、欧州を中心にディーゼル車離れが進み、プラチナ需要が大きく低下したため、2017年にプラチナとパラジウムの価格が逆転しました。
その後も価格差は拡大を続けて、2020年2月には1gあたり約6,000円と約3倍にまで広がりました。2020年11月末現在も価格差は同5,000円前後での推移が続いています。

このように、プラチナは現在リーマンショック後の安値水準にある他、他の貴金属と比べても大幅に割安な値位置となっております。

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世界規模での争奪戦へと発展すれば、長期トレンドで大相場の可能性も!

この様に、これまで長期低迷を続けてきたプラチナの需給や外部要因などに、変化の兆しが見え始めているようです。

今後、新型コロナウイルスのワクチン実用化が進み、米欧を中心に経済活動が正常化に向かえば、元々自動車の触媒等工業用需要の多いプラチナの需要回復に期待が持たれます。 更に、供給量が少ない事から、「脱炭素化社会」実現に向けた世界的な取組みにより需要が大幅に増加した場合、2000年代初頭に起きた中国による資源の買い占めのような、世界規模でのプラチナの争奪戦へと発展する可能性も考えられます。

供給量が少ないため、一旦動き出すと想定外の上昇に繋がる可能性も!

元々、プラチナをはじめパラジウムやロジウム、イリジウムなどといったレアメタルは、供給量が少ないため、買い占めなどが起こった場合、何倍もの値段に跳ね上がる事があります。

実際に、2009年1月に1g=500円程度だったパラジウムは、ガソリン車に使用する触媒需要の増加により、2020年2月には9,660円と実に約19倍もの価格に跳ね上がっております。

プラチナも1999年9月には1,100円台前半で推移しておりましたが、2008年3月には7,427円と約7倍近い値段まで跳ね上がりました。

その様な特性を持つプラチナが、需要増加に伴い世界規模での争奪戦へと発展した場合、長期的に見て金やパラジウムのように、まさに大化けする可能性も秘めているのではないでしょうか。

【白金族系金属比較チャート】

白金族系金属比較チャート

【プラチナ価格ヒストリー】1990年以降のプラチナ価格の推移

白金ヒストリカルチャート

【1990年代】
長期間、概ね1g=1,000〜2,000円のレンジで、比較的落ち着いた値動き。

【2000〜2010年】
中国の急激な経済成長⇒エネルギー、素材関連銘柄、食料などの需要が爆発的に増加し需給ひっ迫感が強まる。世界的な投機マネーがコモディティ市場にも流入し、プラチナ相場も2008年3月の史上最高値(同7,427円)まで上昇する。
同年9月のリーマンショックを機に世界的な金融危機へと発展。景気悪化による需要減退観測などから、同年10月27日には同2,278円(上場来最高値から30%超の下落)まで急落するなど、2000〜2010年の間は非常に変動の激しい時期となった。

【2011〜2015年半ば】
世界的な金融緩和策などの効果もあり、リーマンショックによる混乱から市場は落ち着きを取り戻してきたが、今度はギリシャショックなど欧州債務危機が発生し市場心理が再び冷え込む。
この時期、リーマンショック後の景気対策により世界的に金融緩和策を実施しており、投機資金は株式やコモディティへと向かい、プラチナもリーマンショック時の安値から回復した。しかし、ギリシャの債務危機がEU域内に連鎖的に広がり、EUの存続自体をも脅かす動きとなった事が、工業用需要の多いプラチナにとって圧迫要因となり、上値は同5,000円前半で抑えられ、その後、2015年中頃までは同3,000円台後半から5,000円台前半のレンジでの往来となっていた。

【2015年半ば〜現在】
2015年代後半に、欧州大手自動車メーカーのディーゼル車排ガス不正問題が発覚。また、英国のEU離脱問題が話題となり始め、プラチナを取り巻く環境がより厳しさを増した。更に2018年には米中貿易戦争が表面化。2020年1月にようやく米中間で第一段階の合意がなされたが、その矢先に、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって需要減退観測が強まり急落、3月17日にはリーマンショック時の安値を更新し一時的に同1,843円まで下落した。 その後、新型コロナ感染拡大による景気悪化を下支えするための世界的な金融緩和策等によって反発に転じ、現在は同4,000円台を回復している。


白金(標準取引)における損益計算

取引例:4,200円の白金(標準取引)を10枚買った場合

白金取引における損益計算例(損益計算:損益幅×取引倍率×売買枚数−往復手数料)

白金標準取引

【取引単位】1枚=500g
【倍率】500倍
【証拠金】1枚=120,000円(2021年4月12日現在)

思惑通り買値から200円値上がりした値段で決済した場合。

計算式=(売値−買値)×倍率×枚数−手数料(税込往復)
(4,400円−4,200円)×500倍×10枚−(690円×10枚)=993,100円
1,200,000円の証拠金で、993,100円の利益がでました。

思惑が外れて買値から200円値下がりした値段で決済した場合。

計算式=(売値−買値)×倍率×枚数−手数料(税込往復)
(4,000円−4,200円)×500倍×10枚−(690円×10枚)=−1,006,900円
1,200,000円の証拠金で、1,006,900円の損失がでました。

     

※手数料は全てオーバーナイトで計算しております。
※上記の手数料はセルフコースの手数料となります。プレミアムオンライン取引の手数料につきましては、こちらをご覧ください。


【ご注意】

・当コンテンツは、北辰物産株式会社が作成したものです。

・当コンテンツに記載した情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その確実性を保証したものではありません。

・当該情報は作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更、追加する場合がございます。

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