〜2017年10月23日更新〜

我々の社会、経済、生活において存在感を強める「原油」

現代の我々の日常生活に於いて必要不可欠なものと言えば、何が思い浮かぶでしょうか?
「食料品」、「衣料品」、「住まい」などが思い浮かびますよね。
では、その中で最も重要なものと言えば・・・?
やはり「食料品」と答える方が多いのではないでしょうか。

勿論、食料が無ければ人は生きて行けない訳ですから、その重要性については誰もが認識されていると思います。しかし、現代社会に於いて「原油」の存在は、「衣食住」と同じく我々の社会・経済・生活において必要不可欠なものとして位置付けられています。

イメージ図

原油と言えば、原油から精製される製品で自動車に使用する「ガソリン」、暖房用に使用する「灯油」などが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

しかし、例えばトウモロコシなどの農産物。
一見すると原油とは無関係に見えますが、穀物を生産する際に使用する化学肥料や作付け、収穫時に使用するトラクターや自動車の燃料、電気など至る所で直接、間接的に原油が使用されており、まさに現在の社会に於いては、原油なしでは世界が動かないといっても過言ではありません。

供給面に於いては、今でこそ原油の生産国や生産量は拡大し、また、技術革新により石油に変わる新たなエネルギー資源も台頭しております。しかし、かつて石油は戦略物資とも呼ばれ、生産国が限られる中でこの貴重な資源を巡り、時の政権が石油政策に重点を置いて来た事も頷けます。この為、原油の利権を巡り、過去には冷戦と呼ばれた米ソの対立に拍車を掛けたり、近年に於いても産油国を中心とした地域紛争が絶えず繰り返され、その度に原油は大きな価格変動を引き起こす事となったのです。

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原油価格の変動要因

現在原油は、数あるコモディティの中でも高い価格変動率を有する国際商品として、グローバル経済、金融市場の中でも重要な位置を占めております。

勿論、原油価格は他のコモディティ同様、基本的には需要と供給のバランスによって決まります。需要面では先進国を中心とした世界の消費動向、供給面では産油国の生産動向などが価格を形成する主な要因となります。その中でも政治的に不安定な地域が主要産油国になっている為、中東・北アフリカでの地政学リスクが原油相場にとって重要な変動要因の一つになっております。

更に2000年代に入ると、機関投資家やヘッジファンドなどが金融資産全体のポートフォーリオに原油を積極的に組み入れ始めた為、金融商品としての色彩が強まり、変動要因は増々複雑化しております。

日本でも大手証券会社が、東京商品取引所(TOCOM)のプラッツドバイ原油価格を基にした指数に連動する「上場投資証券(ETN)」の取扱いを開始しており、原油のコモディティとしての人気の高さや金融市場の中での高い信頼性が伺えます。

この為、原油価格を見る上に於いて、これまでの様に資源商品として需給要因を注視していくのは勿論ですが、世界各国の金融政策や、他の金融商品と比べた運用比率の増減なども将来的な価格を予測するうえで重要なポイントになります。

  

原油価格の変動要因

  
  

原油価格の変動要因

  

原油価格の変動要因

  

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原油価格の推移と背景

原油が本格的に利用され始めたのは、1800年代に入ってからと言われております。当初、石油の利用は、灯油にほとんど限定されていました。しかし、産業革命による技術革新が進み、自動車産業の拡大と共に、ガソリン需要が急増しました。

その後、二度にわたる世界大戦を経て、石油の重要性が広く認知されるようになりました。1970年代前半は、原油価格は1バレル=2〜3ドルで推移しておりましたが、1973年10月の第四次中東戦争によりOPECが公示価格を11.65ドルに引き上げました(第一次オイルショック)。その後、1978年の第二次オイルショック、1979年のイラン革命に続き、1980年のイラン・イラク戦争を受けて価格が30ドル台まで上昇しました。しかし、1986年にはOPECの増産による「第一次逆オイルショック」で10ドルを下回る急落をみせております。その後、1990年代では、イラクのクウェート侵攻等による中東の地政学的リスクの高まりにより再び価格が高騰し40ドル台を付けた後、OPECによる増産決議やアジア経済危機によって価格が大きく下落しました。

ヒストリカルチャート長期

2000年以降は、2001年9月の米国同時多発テロの影響による石油需要減退で一時的に下落しましたが、中国の経済成長による石油需要の急増や中東情勢の緊迫化、更には世界的な金融緩和を背景とした原油への投機資金の流入により原油価格は上昇を続け、2008年7月11日にはNY原油が147.27ドル/バレルの最高値(TOCOMプラッツドバイ原油では7月4日の95,360円/kl)を記録しました。

その後、リーマンショックの影響により、2008年末から2009年初には30ドル/バレル近く(TOCOMプラッツドバイ原油では12月25日の22,500円/kl)まで暴落しました。しかし、2011年の「アラブの春」によるリビア情勢の混乱で再び騰勢を強め、同年のイラン核開発疑惑、2013年のシリアの政情不安、2014年のロシア・ウクライナ情勢の緊張激化といった地政学リスクの高まりを背景に2014年夏までの約3年半、100ドル/バレル前後の水準で推移しておりました。

ところが、2014年6月20日に107.73ドル/バレルの高値を付けた後、2016年2月11日に安値26.05ドル/バレルを付けるまで、「第二次逆オイルショック」と呼ばれる大幅な下落を演じる事となったのです。

きっかけは、2000年代序盤に資源商品全般の上昇を支えた中国の景気減速。更に技術革新により、米国では原油に変わりシェールオイルが台頭し大規模な増産を行った為、先行きに対して下落観測が強まり始めました。
そうした中で迎えたOPEC総会で、OPECの盟主サウジアラビアは市場の期待を裏切り、自国のシェア確保を優先し有効な価格対策を打ち出さなかった為、原油価格の下落に拍車が掛かり、長期的な原油価格低迷へと突き進む事になったのです。

その後も、価格下落にも拘わらずサウジアラビアは様子見姿勢を強めていましたが、2016年1月に30ドルの大台を割り込んだ辺りからOPEC加盟国の姿勢にも変化が見られ、その後、サウジアラビアが中心となって価格維持策に動き出す事となったのです。

ヒストリカルチャート短期

サウジアラビアが価格競争を仕掛けた米国のシェールオイルは、今回の長期的な価格下落により相当規模の業者が、不採算に追い込まれ操業停止に追い込まれた事になりました。更に、サウジアラビアに於いても原油価格の長期的な下落が、自国経済に深刻な影響を及ぼし始めた事が、政策転換に繋がったと考えられます。

現在、NY原油価格は長期間続いた下落トレンドが転換し、緩やかな上昇局面が続いています。50ドル台ではシェールオイルなどの増産観測に上値を抑えられる一方で、40ドル台後半から半ばに掛けては、米国を中心とした世界的な供給過剰感の解消期待に下値を支えられており、概ね50ドルを挟んでの動きになっております。

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今後の原油相場のポイント

@ OPECと非OPEC加盟国の協調減産姿勢の維持

現在、OPECとロシアなど一部の非加盟国は、原油安の要因となっていた供給過剰解消に向け、来年3月を期限とした日量約180万バレルの減産を実施しており、その延長を検討しております。2017年11月30日にOPEC総会が開催されますが、会合に先立ちOPECの盟主サウジアラビア国王とロシア大統領が減産延長について協議を行うなど、現時点では合意に至っておりませんが、主要産油国は協調減産に向けた取り組みを進めており、お互い価格安定に向けて利害は一致していることから、今後の協議の進展及び、OPECと非OPECの協調体制の維持ついても期待が持てそうです。

OPEC生産推移


A 米国の原油在庫と掘削リグ基数の動向

米国の原油在庫は、依然として2014年と比較して高水準にあるものの、在庫の積み増しには歯止めが掛かって来ている事が伺えます。

米原油在庫推移


米国の掘削リグ基数は、価格の下落と共に減少が続いておりました。しかし。今回の長期的な原油価格の低迷期に、シェール業者は低価格環境にも耐えうるコスト削減に成功しており、現在はNY原油が50ドルを超える水準になると生産量が増加する傾向がみられます。

この様に、これまでの原油価格長期低迷の主因となっていた、米国の供給過剰状態には変化が見られますが、持続的に原油在庫の減少傾向が続くのかが、今後の原油相場のポイントになりそうです。

アメリカ総基数推移


B 中東の地政学的リスク

◎イラクのクルド人自治区問題

イラク北部クルド自治政府は、9月にイラクからの独立の賛否を問う住民投票を強行。「違憲」として認めない中央政府は自治政府に制裁を科し、係争地キルクーク州を制圧しました。キルクークは同国有数の油田都市であり、また同問題が宗教民族間の問題であるために根が深く、今後もクルド人自治区からの石油生産が脅かされるリスクがあります。


◎米国のイランに対する制裁

トランプ米大統領は10月13日、イランによる核合意の順守を認定する事を拒否し、議会に60日以内にイラン制裁の再発動を決めるよう求めました。一方、イラン最高指導者ハメネイ師がこの大統領発言に反発するなど、ここに来て米国とイランの緊張が高まりつつあります。直ぐに、対イランの制裁解除が見直され、同国の原油産油量が制裁解除前の水準まで落ち込むとは考えにくいものの、今後の両国の動向には目が離せません。


この他にも、リビア問題など北アフリカの産油国にも数々の火種が燻っており、今後も地政学的なリスクの高まりが、原油価格に大きな影響を与える可能性が考えられます。


国際的な原油価格は、歴史的安値からは反転し、現在低位ではありますが安定した値動きが続いております。しかしながら、現在の需給関係や世界情勢を鑑みますと、今後の原油を取り巻く情勢次第では新たな投機資金を取り込み、再び大きなうねりの時期を迎える事も現実味を帯びて来そうです。

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指標となる3大原油

原油価格の代表的な指標には、米国産のWTI
欧州産の北海ブレント、中東産のドバイ原油があり、
これらが世界の3大原油指標と呼ばれております。

WTI (West Texas Intermediate)

WTI原油は、米国テキサス州沿岸部の油田で産出される原油の総称です。
1983年3月にNYMEXで上場され、石油先物取引の中で、一商品としては世界最大の出来高を有することから、北米のみならず世界の指標油種として利用されています。

北海ブレント

北海油田・英国領海北部のブレント油田で産出される原油で、IPE (現ICE Futures Europe)に1988年から上場されています。ブレント原油は欧州向け原油の指標とされ、NYMEXのWTI原油と並んで、世界の原油市場の一角を形成しています。

ドバイ原油

ドバイ原油は、アラブ首長国連邦(UAE)の構成首長国のひとつであるドバイで産出される原油で、仕向地の制約がないことから取引に便利な原油としてスポット取引が活発に行われております。

プラッツドバイ原油(東京商品取引所で上場)

日本は原油のほぼ100%を輸入に頼っており、そのうち80%以上は中東産原油ですが、アジア諸国で輸入される中東産原油について、その価格は東京商品取引所のプラッツドバイ原油価格をもとに決定されています。

価格下落を背景に稼働リグ数の減少。米シェール企業の連鎖破綻

OPEC(石油輸出国機構)

国際石油資本などから石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年9月14日に設立された組織で、設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国を加盟国として発足し、現在は14ヶ国が加盟しています。

非OPEC加盟国

産油量の多いところでは、米国、ロシア、カナダ、中国などが挙げられます。

国際エネルギー機関(IEA)

OECD加盟国を中心にエネルギー安全保障を確立することを目的として第 1次オイルショック後の1974年に設立された組織です。例年、世界のエネルギー見通し(WEO:World Energy Outlook)(年1回)を発表しており、経済・人口の見通し、国際エネルギー動向(石油、天然ガス、石炭、電力、再生可能エネルギー、気候変動)、エネルギー効率などについて分析が行われております。

米EIA(米国エネルギー情報局)

原則、毎週水曜日の米国東部時間午前10時半(日本時間:夏時間は水曜午後11時半、冬時間は木曜午前0時半)に前週金曜時点の石油在庫を発表しており、原油価格に影響を与える統計指標として認知されています。原油在庫だけではなく、ガソリンや灯油の在庫や、地域ごとの在庫も発表されますが、米国全体の原油在庫が最も重要視され、多ければ原油価格は下がり、また少なければ上がるのが原則ですが、他の経済指標のように市場の事前予想よりも高いか低いかということもポイントとなります。

米API(米国石油協会)

原則、毎週火曜日の米国東部時間午後4時半(日本時間:夏時間は水曜午前5時半、冬時間は水曜午前6時半)に前週金曜時点の石油在庫を発表しています。政府の公的機関による全数調査のEIAに対し、APIは業界団体によるサンプリング調査の為、データの正確性という点ではEIAに劣るとみられておりますが、EIAより先に発表される為、在庫の増減や予想値に対する乖離等により、原油価格に影響を与えるとみられております。

掘削リグ

地面に穴をあけて、地下に眠る石油・天然ガスを採りだすための掘削装置です。

米国のリグ稼働数

米国のリグ稼働数の変動は、基本的にはその数が増加すれば、米国での生産が増え、供給が増えるとの見方から原油価格にとっては下落要因となります。また、その数が減少すれば、米国での生産が減り、供給が減るとの見方から原油価格にとって上昇要因となるため、原油価格の先行指標として重要なデータの一つと位置付けられております。米国のリグ稼働数は米国の石油サービス会社ベーカー・ヒューズによって毎週末発表されております。

シェールオイル

地中の頁岩(シェール)層に含まれる石油の一種です。頁岩や砂岩などの高密度な岩盤層に溜まった石油である「タイトオイル」の一種で、地中深くの泥土が堆積してできる頁岩の間から産出され、副産物として天然ガスも産出されます。
かつては、採掘が非常に困難でしたが、革新的なシェールガス開発技術の活用により、2000年代初頭より米国やカナダで生産が増加する様になりました。

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