2016年1月20日にNY市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油が1バレルで30ドルを割れ、26.19ドルまで下落しました。これは2003年5月以来約12年8カ月ぶりの安値水準となります。

米欧などによる対イラン経済制裁解除に伴う、同国産原油の輸出拡大観測の浮上や、世界的な供給過剰懸念の高まり、中国経済の減速不安による同国のエネルギー需要鈍化に対する警戒感から、原油価格は2008年のリーマンショック以来の安値圏まで値下がりしており、2014年からの急激な値下がりは1980年代の第二次石油危機後の急落(「逆オイルショック」)の再来とも言える、「第二次逆オイルショック」とも言われております。

原油安に端を発した世界的なデフレを背景に、今年の2月まで低迷を続けていた国際商品が、4月以降軒並み上昇が加速しております。
国際商品市況の動きを見るのに利用される、代表的な商品先物指数であるCRB指数を見ると、2016年2月11日の154.89を底値に反発に転じた後、上昇一服となっていましたが、4月に入りエネルギーを中心に、穀物など国際商品の上昇を背景に再び騰勢を強め、4月29日には185.0を越えるなど、2月の安値から約19.6%もの上昇となっております。

CRB指数 日足

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国際原油価格 長期下落基調脱却がきっかけ!

国際商品の反転のきっかけとなったのは、国際商品の代表格である原油相場の長期低迷からの脱却が上げられます。
長期的な原油価格の低迷により産油国の危機感が強まり、サウジアラビアやロシアなどOPEC加盟国、非加盟国が協調で増産凍結に向けて動き出した事で、原油相場は反発に転じました。4月17日に開催された主要産油国協議では、増産凍結の合意に至らなかったものの下落は一時的に止まり、その後再び上昇に転じるなど、長期的な相場の底入れ期待が高まっています。

NY原油

原油価格の変動要因

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カタール協議は決裂したが産油国生産は減少傾向

歴史的な原油相場暴落の根本要因は過剰生産にあるといえます。世界経済成長が鈍化したことにより、過剰生産と需要のギャップが拡大、世界的に過剰在庫が積み上がったため、需給バランスが崩れました。最も大きな問題のひとつは北米のシェールオイル増産とみられております。しかし、原油相場暴落は産油国経済を直撃するため、昨年末からは生産量凍結等の動きが活発化し、また採算コスト割れによる操業停止により、OPEC、非OPECともに産油量は減少傾向にあります。4月17日のカタール会合では、経済制裁解除から間もないイランが増産姿勢を堅持、それを不服としてサウジも合意を拒否しました。これを受けて18日早朝に原油相場は一時7%近い暴落となりましたが、売り一巡後は値を戻して40ドル台を回復し、その後も40ドル台を維持しております。生産量凍結への努力が継続していること、シェール勢のコスト割れによる減産を踏まれば、弱材料消化感と状況改善への期待感が相場を支えているようです。

世界原油需給の推移とOECD在庫

生産・消費

用語解説

価格下落を背景に稼働リグ数の減少。米シェール企業の連鎖破綻

北米の原油生産のために稼働しているリグ(掘削装置)数が、原油価格暴落により減少が続いています。
米石油サービス大手のベーカーヒューズ社が毎週公表している稼働リグ数によりますと、原油暴落により2000基前後まで拡大していたリグ数は、現在400基台と約4分の1まで減少しています。
原油相場が「逆オイルショック」と呼ばれる暴落商状となり、採算コスト割れの油田掘削リグは操業停止に追い込まれており、リーマンショック後の価格暴落時と同水準、またはそれ以上の稼働縮小がみられております。

北米のシェール革命により、シェール層からの原油、天然ガス生産が本格化し、シェールリグも増大しておりましたが、ここにきて原油価格の低迷により、米シェール企業の破綻が相次いでおります。原油安が定着した2015年からの倒産件数は60社を超え、負債総額は約200億ドル(2兆円超)に上っております。

「原油価格が1バレル=50〜60ドルに戻ったとしても、シェール企業の半数は事業を継続できる状況にない」(日経新聞4月25日夕刊)との見方もあり、一時乱立していたシェールの破綻などで米原油生産は2014年10月以来の低水準に減り、原油市況の改善につながっております。

アメリカ 総リグ基数推移

金価格も原油価格も共に2011年からは長期下落基調の中にあります。しかし、世界的な金融緩和の中で安全資産としての地金価値が金価格の下支えとなる一方、「逆オイルショック」に陥った原油は暴落の一途となり、両者の格差は大きくかい離しております。1970年以降、「金 ÷ 原油」の平均値は15倍であり、25倍を超えるところは金価格が割高、原油価格が割安と見られており、2016年2月には36.7倍と過去最大を記録しております。

過去1973年には34.7倍がありましたが、その後は中東戦争勃発による第一次、第二次石油危機により原油価格が暴騰し、金価格の上昇を上回ったため、両者の比率は一桁台まで低下しております。また最近では、2015年1月に25倍を超えておりましたが6月には19倍まで収束し、その間に原油価格は1バレル40ドル台後半から60ドル台へと反騰しております。

まだ今回の比率拡大がピークとは断定は出来ませんが、原油価格が歴史的な安値圏から反転を見せ、値位置を切り上げつつある状況は、昨年1月から6月の原油のリバウンド上昇が発生した時に近い状況にあると言えそうです。

ゴールド÷原油

1986年の「第一次逆オイルショック」では第二次石油危機以降、高値の25.6%まで下落率を見せ、その後はその際の高値と安値のボックス相場を約20年間継続しております。

今回の「第二次逆オイルショック」では既に高値の23.4%まで下落しており、「第一次逆オイルショック」後の価格領域に到達しているため、歴史的な安値圏にあると言えます。現時点では実現の可能性は不透明ですが、ロシアが積極的にサウジアラビア、OPECとの協調減産を模索している状況の中、協調減産に現実味が出てきたり、更なる中東情勢の悪化等の報が出てくると、「第一次逆オイルショック」からのボックス相場と同様に現在の安値圏から2014年の1バレル100ドル超の価格帯を高値圏として新たな長期ボックス相場が形成される可能性もあるのではないでしょうか。

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